「SNS運用の目標は、フォロワー1,000人」。こうした目標を立てている企業や店舗は少なくありません。しかし、フォロワー数だけをKPI(重要業績評価指標)にすると、SNS運用は迷走しがちです。
フォロワーは増えたのに問い合わせや来店が増えない。投稿のテーマがぶれて、何のために続けているのか分からなくなる。そんな状態に陥る原因の多くは、KPIの設定にあります。
この記事では、SNS運用のKPIをフォロワー数にしてはいけない理由と、事業につながる指標の決め方を、BtoB企業と店舗・BtoCビジネスに分けて解説します。
SNS運用のKPIをフォロワー数にすると迷走する理由
フォロワー数をKPIにすると、次のような問題が起こりやすくなります。
- 売上に直結しない:フォロワーが増えても、その人たちが見込み客とは限りません
- 数字だけを追う発信になる:キャンペーンや流行ネタで一時的に増やしても、事業と関係のないフォロワーが集まります
- お金で増やせてしまう:フォロワーは購入することもでき、数字そのものが実態を表さないことがあります
- 何を改善すればいいか分からない:増えない理由が投稿内容なのか、ターゲットなのかが判断しにくくなります
フォロワーは手段であって目的ではありません。大切なのは、SNSを通じて事業にどんな変化を起こしたいかです。
まず決めるのは「SNSで何を達成したいか」
KPIを決める前に、SNSを運用する目的を明確にしましょう。目的は大きく「認知」と「獲得」に分かれます。
| 目的 | ねらい | 見るべき指標の例 |
|---|---|---|
| 認知 | 会社やお店を知ってもらう | リーチ数(閲覧したアカウント数)、フォロワー外への表示、シェア数 |
| 想起 | 必要なときに思い出してもらう | 保存数、プロフィールへのアクセス数 |
| 指名・獲得 | 問い合わせ・来店・購入につなげる | サイトへの遷移数、指名検索数、問い合わせ・予約数 |
「認知→想起→指名」のどこに投稿の目的を置くかを決めると、投稿内容も評価の軸も自然に定まります。
BtoB企業のSNS運用で見るべきKPI
BtoB企業の場合、SNSを見てすぐに発注が決まることはほとんどありません。そのため、「興味を持って調べ始めたか」を表す指標を重視します。
- プロフィールへのアクセス数:投稿を見て、どんな会社か知りたくなった人の数
- プロフィールからのサイト遷移数:さらに詳しく知るためにWebサイトを訪れた人の数
- 指名検索数の増加:会社名やサービス名で検索される回数(Googleサーチコンソールで確認できます)
- SNS経由の問い合わせ数:問い合わせフォームで「何で知ったか」を聞いておくと把握しやすくなります
まずは、月に一度プロフィールへのアクセス数を記録するところから始めてみてください。数字の推移を見るだけでも、どの投稿が関心を集めたかが分かるようになります。
店舗・BtoCビジネスのSNS運用で見るべきKPI
飲食店や美容室、スクールなどの店舗ビジネスでは、「行きたい」「予約したい」という行動につながる指標を見ます。
- 保存数:「あとで行きたい」「参考にしたい」と思われた数。来店意欲の目安になります
- プロフィールへのアクセス数:場所や営業時間を確認しに来た人の数
- 予約リンク・公式LINE・電話のタップ数:来店に最も近い行動です
- 「Instagramを見て来ました」の数:来店時や予約時に聞いて記録すると、SNSの効果が分かります
KPIの決め方:KGIから逆算する3ステップ
SNSのKPIは、事業のゴール(KGI)から逆算して決めると、ぶれにくくなります。
- 事業のゴール(KGI)を決める:例)月の新規予約を20件にする
- SNSの役割を決める:例)新規予約のうち5件をInstagram経由にする
- 主KPIを1つだけ決める:例)予約リンクのタップ数を月50回にする
ポイントは、主KPIを1つに絞ることです。見る数字が多すぎると、何を改善すればいいかが分からなくなります。リーチ数や保存数などは、主KPIを達成するための「中間指標」として位置づけましょう。
KPIを決めたあとの運用のコツ
- 月に一度、数字を記録する:Instagramのインサイトなどで確認し、スプレッドシートに記録しておくと推移が分かります
- 反応が良かった投稿の共通点を探す:テーマ、形式(リール・カルーセル)、冒頭の見せ方を比べます
- 投稿の目的ごとにCTAを変える:お役立ち投稿なら「保存」、告知なら「シェア」、紹介なら「プロフィールへ」と、動かしたい数字に合わせて呼びかけます
よくある質問
Q. フォロワー数はまったく気にしなくていいのですか?
A. 気にしなくていいわけではありませんが、目標にする必要はありません。事業につながる投稿を続けた結果として、見込み客のフォロワーが増えていく状態が理想です。
Q. SNS運用を外注している場合、何を報告してもらえばいいですか?
A. フォロワー数やいいね数だけでなく、プロフィールへのアクセス数、サイトへの遷移数、問い合わせや予約につながった数を報告してもらいましょう。自社のKGIとつながる数字で振り返ることが大切です。
Q. どのくらいの期間で成果を判断すればいいですか?
A. 業種や投稿頻度によりますが、少なくとも3か月程度は同じ方針で続け、月ごとの推移を見て判断するのがおすすめです。
まとめ
- フォロワー数をKPIにすると、事業に効かない発信に迷い込みやすい
- まずSNSの目的を「認知・想起・指名」のどこに置くかを決める
- BtoBはプロフィールアクセス・サイト遷移・指名検索を重視する
- 店舗は保存数・予約導線のタップ数など、来店に近い行動を見る
- KGIから逆算し、主KPIを1つに絞る
今週、自社の投稿の目的が「認知」なのか「獲得」なのかを明確にし、それに合うKPIを1つだけ決めてみてください。
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この記事を書いた人:田口 英里奈(株式会社Femme Creatives 代表)
Webディレクター・デジタルマーケター。営業・マーケティング・Web制作の現場を経験し、これまで500社以上のWeb集客を支援。グローバルサイトのWebディレクション、SEO・SNS運用、EC構築のほか、自治体主催セミナーの講師も務める。